流されてみるのもいい

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「そーだぜ。なまえちゃんはよく見ると血だらけだし、でも何か二人していい雰囲気だしぃ」


悟浄はおどけてみせるが、悟空がそこに割って入ってわたしに飛び付いた。


「うわっ!」

「こんな血だらけで何やってたんだよっ!」



真っ直ぐ向けられた金色の瞳から真っ直ぐに向けられる悟空の思い。



「……ごめんね」


上手く言えないけど、それを補う様に悟空を抱き締め返したら、三蔵の時とは少し違う温かさが擽ったかった。



人に触れれば触れる程、温かさが心の口から注ぎ込まれる。


今まで注ぎ込まれるものといえば荒んだ黒い欲の塊だったのに、今はその受け口を少し開いただけでこんなにも欲していた温もりを注いでくれる。


「なまえ、とりあえず傷の手当てしましょうね」

「そうだぜ。女の子なんだから八戒に綺麗に治して貰えよな」



楽な方へ楽な方へ。


何も無かったフリをしてれば楽だと思った。ここではわたしを知る人は居ないのだから。



自分勝手に我が儘に、みんなに凭れてしまってもいいんじゃない?



例え全てを知っても、この優しさは変わらないのだと、信じてみてもいいんじゃない?


見上げた光の先の、笑って生きてる皆と……。一緒に生きてみたい。

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