Go to the West

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「あはっ、ごめん。あんまりにも息ピッタリだったから……」


そう言って涙を拭うなまえは四人に不思議な感覚をもたらした。


なまえが笑うと空気が変わり、くすぐったい様な居心地の良さを感じた四人。しかし他の奴らには気付かれまいと普段通りにご飯を口に運ぶ。


当のなまえはというと、杏仁豆腐と胡麻揚げ団子をすっかり食べ終え、酒を口にしている。久しぶりに独りではない食事に顔を綻ばせながら。



すると急に外が騒がしくなり、三蔵達は立ち上がった。


それに続きなまえも外へ出てみると、外には妖怪達と思われる輩に囲まれていた。



「三蔵一行、今日こそ経文は頂いていくぜ」


襲い掛かってくる妖怪達を前に硬直するなまえ。しかしその間にも三蔵達は次々と妖怪を薙ぎ倒し、なまえにも返り血が飛んだ。


そしてその時、なまえの前に妖怪が立ちはだかり、まだ硬直していたなまえと対峙してしまっていた。

そんななまえに気付いた八戒が助けに行こうとするが、それを三蔵は制止する。


「三蔵?」

「……あいつに殺らせろ」


三蔵の言葉に悟空と悟浄も腑に落ちないでいる。しかし三蔵は静かに言った。


「妖怪一匹殺せねぇ様な足手まといはいらねぇ。最初にそう言ったはずだ」

「三蔵、そりゃ……」

「黙れ」


反論する悟浄に一喝した三蔵はなまえに向かって言い放つ。



「なまえ、自分で生き延びろ」



三蔵の言葉に『生』の本能を刺激されたのか、なまえはゆっくりと銃に手をかける。その手だけではなく、身体全体を震わせながら、恐る恐る銃を構えた。



――ガウン!


なまえは撃った衝撃で後ろに体勢を崩すが、三蔵がそれを支える様に立っていた。


「フン、やればできるじゃねぇか」



吹き飛んだ妖怪と、手に残った衝撃は、更になまえの身体をふるわせ、それと同時に生きている実感をも与えた。

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