欠員2
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その頃、悟浄となまえは……。
「寒い寒い寒いっ!」
「だーから川で洗髪なんて止めとけって言ったっしょ」
なまえは唇を紫に染めタオルにくるまり、悟浄の尤もな言葉に口を尖らす。
「女心の解らない奴め。"俺が温めてあげようか?"とか言えないのかね」
すると透かさず肩に手を回してきては抱き締めようとする悟浄になまえは苦笑する。
「なーんだなまえちゃん、温めて欲しいなら先に言ってよっ」
「今更おそーいっ」
お互いに煙草を銜え軽口を叩き合うが、ふとした瞬間に視線がぶつかると、急に二人の間に沈黙が訪れ、辺りは葉擦れの音と呼吸音だけが木霊していた。
「なーんかイイ雰囲気だし、一発ヤっとく?」
「調子に乗って先に逝かないでよ?」
悟浄がふっと笑いながらそう言ってなまえを見下ろすと、なまえも同じ様に口角を上げ、二人同時に武器を構えた。
銃声と甲高い金属音。それが響くと、声を発する事もなく辺りには妖怪達が崩れ落ちた。
「さっ、邪魔者も居なくなった事だし」
「体も温まった事だし」
「デートの続きといきますかっ」
大きさの違う二つの手が勢いよく重なり、それがパチンと軽快な音を鳴らすと、二人は再び森の奥へと進んで行った。
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