見くびるんじゃねぇよ

(7/7)
「……こないださ、どーして俺がお前を助けたのかって聞いてたよな」


悟浄はふっと笑い煙草を銜えた。



───三年前のあの日。
どしゃ降りの雨の中、お前は俺を見上げて。
殺してくれって眼をしてた。


だから助けたんだよ。



「俺は死にたがってる奴を簡単に殺してやる程優しい男じゃあナイの」

「悟浄……」


紫煙は高く高くいろんな思いを運んでいくように、確かに空にのぼっていく。


「──で、今はどーなワケ?いつ死んでもイイって顔には見えねぇけどな」


悟浄は悟空と悟空のギプスの落書きを見て笑うなまえに視線をやりながら煙を吐き出した。

その煙は何処までも。僕の気持ちも運んでくれるように。


「そうですね。今は、この生命線がもう少し長かったらよかったなぁと思います……」



許されるなら、あともう少しだけ。自分の為に生きてみたいと思うんだ。


「えー何、八戒生命線短いの?」

「どれどれー?」


急に背後から顔を出した悟空となまえに驚いていると、悟空は僕の手を掴みマジックで線を書いた。



僕の短かった生命線を、手首の所まで伸ばすようにしっかりと書き足されている。



「おい猿共!散らかした物ぐらい片付けろ!」







風がまた通り過ぎる。



「参ったなぁ……。油性ペンですよ。落ちないじゃないですか……」

「油性だな。落ちねぇな。───ま、いーんでない?」



高くのぼっていた煙が滲みたのでしょうか。



「……そうですね」

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