little by little

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「……想像出来ねぇ」

「ま、当然の反応だよ。因みにいくらなんでも無理なやつは本当に死ぬってことも、ちゃーんとわかってるからね」

「……因みにさ、医者の子供って皆そうなの?」



物心がついた時から、これ以外にも様々なカリキュラムを強要されてたし、兄とわたしにはそれが当たり前の事だったけど、普通じゃまず有り得ないってことは薄々感じてた。



「……さぁね。よそ様を気にしてる時間は無かったな」



やっとキノコを採り終えたのか、なまえは悟浄の隣に座り煙草に火を付けた。



「でもさ、医者になる為のものがさ、貧乏を乗り越える為に役立ったんだよ?ちょっと笑えるよね」



"後継ぎ"としても沢山愛してくれたのにね。



「でもさぁ、そのお陰で俺はなまえちゃんに手当てしてもらえるじゃない」

「……それもそうか」




目の前で揺れる父さんと母さん。そして目の前で砕け散った兄さんは、今のわたしをどう思う?



真っ暗な場所で、わたしが眠るのを待ってるの?




ふーっと吐き出した紫煙は悟浄の紫煙と共に上っていく。



高く暗い夜の中へ。
長い長い夜の中へ。

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