little by little
(7/8)
静かな夜の訪れ。月も雲に隠れた頃、隣に座っていた悟浄が立ち上がった。
「じゃ、俺はそろそろ戻るかな」
悟浄は茂みを指差しわたしに合図をしている。一体何の合図かと思えば、そこには三蔵様が立っていた。
擦れ違い様に三蔵に不適な笑みを残し悟浄が去っていくと、三蔵が入れ替わりの様にわたしの隣に胡座をかく。
何か物凄くご機嫌斜めな三蔵は、何も言わずに煙草を取り出し、わたしを睨み付ける。
「そんなもん採ってまた食う気か?」
「何か問題でも?」
静かな沈黙は風と共に通り抜け、辺りにはいっそう静けさが増し、二つの煙草の火だけが揺れていた。
「てめぇは今日も寝ねーのか?」
何の前触れも無く切り出す三蔵。それが三蔵。
「んー、寝ない」
「フン、寝れねーの間違いだろ?」
些か棘のある言い方にわたしの眉は一瞬反応を示すが、図星であるがために閉口した。
「……お前に染み付いてんのは今までの習慣なんかじゃねぇだろ」
「……だったら何だっての?」
わたしは震えていたんだと思う。三蔵に見透かされてる様で、自分が恥ずかしくて悔しかった。
夜が恐いからだなんて言ったら殺されそうだ。
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