little by little

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静かな夜の訪れ。月も雲に隠れた頃、隣に座っていた悟浄が立ち上がった。


「じゃ、俺はそろそろ戻るかな」


悟浄は茂みを指差しわたしに合図をしている。一体何の合図かと思えば、そこには三蔵様が立っていた。



擦れ違い様に三蔵に不適な笑みを残し悟浄が去っていくと、三蔵が入れ替わりの様にわたしの隣に胡座をかく。



何か物凄くご機嫌斜めな三蔵は、何も言わずに煙草を取り出し、わたしを睨み付ける。



「そんなもん採ってまた食う気か?」

「何か問題でも?」



静かな沈黙は風と共に通り抜け、辺りにはいっそう静けさが増し、二つの煙草の火だけが揺れていた。



「てめぇは今日も寝ねーのか?」



何の前触れも無く切り出す三蔵。それが三蔵。



「んー、寝ない」

「フン、寝れねーの間違いだろ?」



些か棘のある言い方にわたしの眉は一瞬反応を示すが、図星であるがために閉口した。



「……お前に染み付いてんのは今までの習慣なんかじゃねぇだろ」

「……だったら何だっての?」



わたしは震えていたんだと思う。三蔵に見透かされてる様で、自分が恥ずかしくて悔しかった。




夜が恐いからだなんて言ったら殺されそうだ。

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