Good Night

(3/7)
外は快晴。
勢いよく回るタイヤに合わせ、砂埃を巻き上げながら今日もジープで西を目指す。


三蔵はちらっと後ろを見ると、騒がしいのに挟まれたなまえがうとうととしており、やはり眠れなかったのかと舌打ちをした。


隣では八戒が運転をしながらそんな三蔵に視線をやる。


「……何見てやがる」


「いえね、背後の妖怪にお気付きかなーと思いまして」


「……当たり前だ」



不覚をとられたと、三蔵は心の中で再度舌打ちをし、急停車したジープから飛び降り銃を構える。



「さっさと片付けて先を急ぐぞ」


「げっ、すげー団体客」


「うわっ、本当だ。俺腹減ってんのにー」


続けざまに悟浄と悟空も武器を構え、また一段と数の多い妖怪達にげんなり気味。


そこへ、既に眠気と戦っていたなまえも参戦するぞとばかりに銃を取り出す。


「さっ、行きましょうか」


八戒の掛け声の後、五人は一斉に妖怪達へと駆け出して行く。


甲高い金属音や銃声に混じる妖怪達の断末魔。やがてそれすらも聞こえなくなった頃、四人は辺りになまえの姿がないことに気付いた。



「ちょっと!なまえが居ないんだけど!」


悟空が辺りを見渡すが、それらしき人影は無く、三蔵の顔は次第に険しくなっていく。

しかし、そう嫌な予感が漂った時、遠くからなまえの銃声が聞こえ、三蔵は一歩前へ出る。


「俺が行く……」


他の三人の返事も聞かぬまま、それだけ呟いた三蔵は走り出した。




──チッ、狙われてんじゃねーよ。




心なしか銃を持つ手には力が入り、もっと急げないものかと地面を蹴る足に苛立ちながら、三蔵は銃声の聞こえた方へと急いだ。






──以前、なまえに『足手まといは置いていく』と言った時の俺には信じられない事だろう。


確かに妖怪達にも狙い打ちされる程、この旅路には足手まとい以外の何者でも無いってのに、走り出しちまうんだからよ……。
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