旅支度
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地位や名誉。とどまる事を知らない物欲。
人間、上り詰めるのは大変で、例え上り詰めてもそれが綱渡りだとは知る由も無い。
気付いた時には手遅れで、天地がひっくり返る様にただ堕ちていく。
堕ちる時は一瞬で、見上げれば針程の光だけ。這い上がる気も起きない。反吐の出る毎日。それでも学んだ事は一つだけ。
信じられるのは自分だけ。
「御託はいい。それでいいじゃねぇか。さっさと準備しろ」
菩薩はわたしを知っていると言った。それはその口振りからも解る。
だからきっと、わたしが誰よりもここから抜け出したいと思ってる事を知っているんだ。
「何ボヤボヤしてんだよ?ここに未練なんて無いだろ?」
不適に笑う菩薩にわたしは苦笑を返す。
わたしは適当に荷物を纏め、差し出された菩薩の手を取った。
その時の菩薩には後光が差し、本当に神様かもしれないと思った。
誰でもいい。
ここから抜け出させてくれるなら、この自称神様に縋ってみるのも悪くないとわたしは思った。
「なまえ、目瞑ってしっかり掴まってな」
わたしは言われるままに目を閉じた。
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