to be or not to be

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それでも食事を済ませて部屋に入れば、屋根のある所で眠れるというありがたさ。


ま、三蔵様々ですね。



するとお世話係だという、"葉"と名乗る若い坊主が入ってきて、三蔵に対する思いを目を潤ませながら熱く語り、部屋を出て行く時にはハートマークまで飛ばしていた……。


「御仏に選ばれし尊き御方……?」


わたしは悟空と目を合わせる。


「……三蔵が銃ブッ放してる姿を見せてやりてぇっっ」


「これが本当の"知らぬが仏"ですねぇ」


眉間に皺を寄せながら新聞を広げだ三蔵は何も言わなかった。



わたしは染み付いた線香の臭いを振り払いながら煙草を取り出し、一息つくと四人は麻雀を始め、わたしはそれを煙と共に眺めていると頭の中を過去が駆け巡っていく。



それに気付いた八戒がわたしに声をかける。


「なまえ、どうしました?」

「何でもないよ」



ハッと我に返ったわたしは咄嗟に繕う。

これはきっと線香のせいだ。この臭いが記憶を手繰り寄せている。



「わちゃーもう腹減ってきたっ。ここの食い物って豆とか野菜ばっかだもんよー」


この悟空のいつもと変わらない空気に幾分か救われる。



「仕方ないですよ。精進料理だから」



離れた所から四人を見ていると突然ドアが勢いよく開き、


「何なさってるんですかーっ!!」



と世話係の葉が血相を変えている。


「麻雀」


悟浄の答えに慌てて三蔵を見やる葉だが、三蔵は喫煙中。


「うあぁ。煙草なんか吸ってはいけません三蔵様っ!」


すると悟浄が缶ビールを持ちながらトドメの一言。


「かけつけ一杯」



憧れの三蔵とその仲間達がこれだ。葉は頭を抱えて慌てふためいている。

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