麻雀牌が語るもの

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三蔵サイドから様々な野次が飛ぶが、そのうちに人質交換でもするかの様にわたしと李厘とよばれる女の子が入れ替わる。

「……居なくなった上にこの様か?」


三蔵の嘲笑う声は傷口を刺激する。


「すみません……」


「三蔵、それよりなまえの手当てが先ですっ!」


本当にカッコ悪いったらありゃしない……。


「何処行ってたんだよっ!」


「なまえちゃん、また随分と派手にやられたねぇ」



迷子になって肩撃ち抜かれて、挙げ句の果てに敵に助けられるとは……。


「なまえ、大丈夫ですか?」


気功を当ててくれている八戒が心配の色を宿した瞳で見つめている。


「うん、……ごめんね」


八戒の治療が済むと、三蔵がわたしを見下ろしながら物凄く睨んでいた。眉間の皺なんて数えられたもんじゃない。末恐ろしい。


そんな三蔵の手がスッと伸びてきたもんだから、わたしはすっ叩かれる事を覚悟してギュッと目を瞑った。


だけど三蔵はハリセンを振りかざすでも無く銃を乱射するでも無く、わたしの頭を自分の胸に引き寄せ溜め息を吐いた。



「ダセェ……」



それはまるで自分に言っているかの様な、小さな小さな三蔵の呟き。けどそれを掻き消す様に悟空が紅孩児に向かって叫んでいる。



「おいっ紅孩児!まさか妹引き取ってまたズラかるつもりじゃねーだろうな!───この間の決着つけさせろよ!」



「……チッ。あの馬鹿猿が。──お前はここで大人しくしてろ」



三蔵はそう漏らしてわたしから離れて背を向けた。

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