少年と銀閣
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『ううん。父さんも母さんももう死んじゃったから』
少年がそう言うと、なまえは遠く空を仰ぎながら口を閉ざし、悟浄と少年の話に静かに耳を傾けていた。
──脳ミソ胃袋なバカ猿とエラッソーな生臭坊主と、口うるさいオフクロみてえな男。
「何でそんな嫌な人達と一緒にいるの?」
子供は無邪気にイタイ事を聞いてくる。理屈じゃないんだよ。
なまえはそんな事を思いながら、返事に詰まった悟浄に声を掛けた。
「悟浄、そろそろ帰らないとヤバいんじゃない?」
「あ、あぁ!そうだな」
話を反らす好機とばかりに、悟浄は荷物を抱えて『悪いな』と少年手を上げ、なまえと共に歩き出した。
──お兄ちゃん達、その人達キライ?
はっきり聞こえた訳じゃないけど、何故か胸騒ぎを覚えて振り返ると、少年は屈託のない笑みを浮かべて手を振っていた。
気のせい……か。
そう気を取り直して二人は宿へと歩き出した。
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