少年と銀閣

(3/6)
『ううん。父さんも母さんももう死んじゃったから』



少年がそう言うと、なまえは遠く空を仰ぎながら口を閉ざし、悟浄と少年の話に静かに耳を傾けていた。



──脳ミソ胃袋なバカ猿とエラッソーな生臭坊主と、口うるさいオフクロみてえな男。



「何でそんな嫌な人達と一緒にいるの?」



子供は無邪気にイタイ事を聞いてくる。理屈じゃないんだよ。


なまえはそんな事を思いながら、返事に詰まった悟浄に声を掛けた。


「悟浄、そろそろ帰らないとヤバいんじゃない?」


「あ、あぁ!そうだな」


話を反らす好機とばかりに、悟浄は荷物を抱えて『悪いな』と少年手を上げ、なまえと共に歩き出した。




──お兄ちゃん達、その人達キライ?




はっきり聞こえた訳じゃないけど、何故か胸騒ぎを覚えて振り返ると、少年は屈託のない笑みを浮かべて手を振っていた。


気のせい……か。



そう気を取り直して二人は宿へと歩き出した。
.
124/180

ListTopMain
>>Index