旅支度

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男四人の中に取り残されたわたしを重苦しい空気が纏わりつく。


「あの、僕、八戒といいますが、まずはお名前を伺ってもいいですか?」

緑の目をした八戒という名の男は優しく澄んだ瞳で語りかける。


菩薩が居なくなり、心細さを感じていたわたしは、その優しさに少し救われた。


「……なまえです」

わたしがそう答えると八戒は優しい声色で言う。


「なまえさんは何も知らずに連れて来られたみたいですね。あの方は何か考えがあっての事なんでしょうけど」


すると煙草を銜え、三蔵と呼ばれていた金髪男がわたしを見据えた。


「これ以上足手まといはいらねぇよ。手のかかる猿と河童だけで十分だ」

「おい三蔵、今俺に向かって言っただろう?」

「猿って言うなっ!」

「フン、間違ってねぇだろ」

「悟浄、悟空、落ち着いて下さい。三蔵も、なまえさんが驚いていますよ」



三蔵?悟空?悟浄……八戒……?え、待って、これって間違い無いよね……?


「もしかして、天竺とか目指してる?」


すると四人の視線が一斉に集まり、ヒソヒソと密談を始めた。


「……おい、菩薩は天竺なんて言ってたか?」

「いいえ。ただ異世界から連れて来たとだけ」

「俺達の旅の目的をちょろっと説明しただけだよな?」

「じゃあ何で知ってんの?」




あー丸聞こえですが。
でもこれって間違い無く『西遊記』に出てくる人名だよね?


わたしは抜け出した先で、三蔵一行と天竺目指しちゃうワケ?


うそでしょー!
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