後悔と憧れ
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外に出ようとした時、悟浄と旬麗さんの話し声が聞こえたが足を止める気にもならなかった。
悟浄は旬麗さんを口説いてる。邪魔しちゃ馬に蹴られてしまう。
煙草を銜え、庭から少し離れた所に腰を下ろし、見上げた月が嗤っている。
あんたも交わらないね。
ただ待ち望んで、何千年何億年って出会わないあんたなら、わたしの事を解ってくれる?
ふっーっと上っていく煙を見ていた。
「おっなまえちゃん発見」
突然聞こえた悟浄の声にわたしは夜空を見上げたまま言う。
「旬麗さんに振られたの?」
悟浄は煙草に火をつけてわたしの隣に座ると、わたし同様夜空を仰ぎ見る。
「手厳しいねぇ。慰めてくれねぇの?」
「慰めに使われるのは御免だーよ」
同時に煙を吐き出してその先を二人で追ったまま、悟浄は静かに口を開いた。
「なぁ、なまえはさ、俺の髪の色、何に見える?」
夜風が間を通り抜けて、向かい合った悟浄の紅い髪と紅い瞳。
「後悔と憧れ」
悟浄はもっと的確な答えを求めていたのか、目を見開いて苦笑した。
「何それ?傷心中の俺に詳しく教えてよ?」
教える気なんて無かったのに、その時の悟浄の目が余りにもあたしを映していたから……。
その瞳に導かれる様に言葉が漏れた。
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