後悔と憧れ
(8/10)
「よう。生きてっか?」
「……死んでるんじゃない?」
悟浄が去っても尚、その場に座り込んでいたなまえに、どこからともなく現れた菩薩が声をかけた。
そして菩薩の質問に疑問系で返すなまえ。
その答えを一番知りたいのはなまえ自身なのだ。
取り出した煙草を銜え菩薩を見上げ、なまえが口にした言葉は、全て知っているであろう菩薩にしか言えない言葉。
「忘れたい……」
みんなもきっといろんな事を抱えてんだと思う。それでも胸張って『生きてる』って言うんだ。
けどそれはわたしだって同じだ。這いつくばって生きてきた。
それでも……。
「わたしがどんなに汚いか知ら無いであんな顔されたら……、怖くて言え無いよ」
そう言った瞬間、熱のためかなまえは静かに目を閉じた。
涙が溢れてこない様に。
なまえの頭を撫でながら歪む菩薩の顔。
昨日まで両親に頭を下げてた奴に、つま先で顎を蹴られ、愛を引き合いにどん底まで突き落とされて。
這い上がろうにも足枷だらけ。
お前の躰に幾重にも巻き付く乱麻を…、俺は断ち切ってやりたかったんだ。
今も昔も、な。
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