後悔と憧れ
(9/10)
翌朝、気怠さを纏ったまま目を開けた。
いつの間にかベッドの上だったのは菩薩の慈悲だとありがたく受け取ろう。
しかし、熱のせいで魘されてはいたものの、夜にこんなにも長くベッドに横になったのは何年振りだろう。
菩薩、わたしの体調は完璧スルーしたな。
そう悪態ついたのも束の間、旬麗さんが唯ならぬ顔で西の森へ駆けて行くのが見えた。
一抹の不安を感じ、とりあえず皆を呼ぶ前に引き止めた方がいいと思い、わたしは旬麗さんを追い掛けた。
「旬麗さんっ!こんな朝早くどこへ行くんですか!」
旬麗さんに追い付いた所で声を掛けると、この森の先で人を襲っていたのは旬麗さんの恋人だと聞き、それを一人で確かめに行くと言う。
一人なんて危険過ぎる。みんなに相談してから行こうと提案するも、旬麗さんは頑なにそれを拒んだ。
「わかった。じゃせめてわたしだけでも付き合わせて?」
旬麗さんは震える手でわたしの手を握り、コクリと頷いた。
「慈燕……!何処にいるのっ?」
会いたい……、だけど信じたくない。そんな声で旬麗さんは叫び続ける。
わたしではあまり役に立たないだろうけど、できるだけ辺りに気を配りながら銃を構えるが、病み上がりのためか注意力が散漫してしまう。
それでも森の中を進んで行くと物音が聞こえ、その方向に向かって旬麗さんは恋人の名を呼んだ。
しかし、現れた妖怪は幸か不幸か、探していた妖怪では無かったようだが、わたし達の目の前を妖怪が立ち塞いでいる。
「昨日の今日でこんな上玉が二人もなんざ、ツイてるなぁオイ」
旬麗さんを背後に匿い発砲するも、体が言う事をきかない。
わたしは腕を掴まれ、すぐさま三人の妖怪に囲まれる。
「旬麗さん!逃げてみんなを呼んできて!」
そう叫んだものの、恐怖の為にその場に立ち尽くしたまま動こうとしない彼女、そしてその彼女に視線を送った一瞬の隙に、わたしは地面に叩きつけられてしまい、妖怪はわたしの服を鋭い爪で一気に引き裂く。
「なまえさんっ!」
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