Past

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「俺、思うんだけど……」

いつになく真剣な悟浄の声に、他の三人は静かに耳を傾けた。


「なまえ、自分の体を商売道具って言ってたよな?あいつ……」

「中々いい線いってるぞ、お前」


不意に悟浄の言葉を遮る声。それは神出鬼没な菩薩の声だった。


「……またあんたか」


三蔵の吐き捨てた言葉を踏み潰す様に菩薩は言った。


「なまえは体一つで生きてきたんだよ」

「……差し支えなければ詳しく教えて頂けますか?」


その場にいた四人は同じ気持ちだった。


菩薩は四人に背を向け、遠くを見つめる様に言葉を紡いだ。


「なまえはな、14歳の時、兄と二人で目の前で両親の死を見てしまったんだ。そしてそれを見て気が触れた兄貴は家を飛び出し、そんな兄をなまえは泣きながら追いかけた。……しかし、なまえの兄はなまえの目の前でトラックに跳ねられて飛び散った」



ただ黙って聞いていた四人をゆっくり振り返り、菩薩は続けた。


「一度に家族を失い、両親は大病院を経営していたことから、莫大な財産だけが残ったが、なまえは14歳と幼かった……」



――ガウンッ!


突然の銃声に一同が振り返ると、なまえがすぐ後ろに立っていた。



「その先は自分で話すよ……」




そう言ったなまえの目は悲しそうだった。

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