Past
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菩薩が姿を消した後、悟空が静かに口を開いた。
「俺よく解んねぇけど、なまえの事好きだ。菩薩の言う通り、なまえが笑うと温かい」
「……そうですね。僕もそう思いますよ、悟空」
「ま、過去の話だからな。愛なら俺が教えちゃうし……」
――スパーン!
三蔵はハリセンを一発かまして立ち上がった。
「三蔵、どこ行くんだ?」
悟空の問いに散歩とだけ答えると、三蔵は森の中へ入って行った。
「……三蔵、なまえをちゃんと連れてきてくれっかなー?」
三人が三蔵の背中を見つめる中、三蔵は森の中を進んで行く。
紫煙を上げながら歩いていると、少し視界の開けた場所に辿り着いた。
煙草の儚い灯りが揺れ、なまえが静かに佇んでいる。
「もっと警戒したらどうだ?」
突然三蔵に声をかけられ、ビクッと体を震わせるなまえ。
二人の間を風が通り抜け、沈黙だけを残していく。しかしその沈黙はなまえによって破られた。
「三蔵、ごめんね」
拍子抜けする程明るい口調のなまえと、その全くもって見当違いの謝罪に、三蔵は苛立ちを覚えた。
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