Sweet Pain

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私達が着いた街は賑やかで、両側にびっしりと並んだお店は活気に溢れていた。


鼻先を掠める匂いに誘われ、悟空と共に匂い元へと歩き出す。


――スパーンッ!!


「こんのっ馬鹿猿にチビ猿がっ!!」



うわぁー……。三蔵のハリセンってリアルに痛いよ。

しかし、悟空と頭をさすりながら、ふと『チビ猿』という言葉が引っ掛かる。


「三蔵……今さ、チビ猿って言ったの……?」


「間違って無いだろ」


この男、しゃあしゃあと人が気にしてる事を……!


「はいストップ。なまえ牛乳買ってあげますから大人しくしててくださいねー」


三蔵に掴みかかろうとしたが、八戒の顔を見て背筋が凍った。


八戒だけは敵に回しちゃダメなやつだ。絶対に……!



「なまえって俺よりチビだもんなー」


わたしにしか聞こえないように耳元で言った悟空を蹴り飛ばし、わたしは宿に向かっていった。



三蔵にチビと言われようが、今日は一人部屋という事で機嫌が直るわたし。


着替えとか流石に気ぃ遣うしね。



そして部屋に着くなり、わたしは久しぶりに手帳を開く。



仕事の予定で埋め尽くされたカレンダーと、幼い頃の家族写真。何も知らなかったな、わたし。


――コンコン。


不意にノックの音が聞こえ、ドアを見やると八戒が立っている。


「ちょっといいですか?」

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