Sweet Pain
(3/7)
私達が着いた街は賑やかで、両側にびっしりと並んだお店は活気に溢れていた。
鼻先を掠める匂いに誘われ、悟空と共に匂い元へと歩き出す。
――スパーンッ!!
「こんのっ馬鹿猿にチビ猿がっ!!」
うわぁー……。三蔵のハリセンってリアルに痛いよ。
しかし、悟空と頭をさすりながら、ふと『チビ猿』という言葉が引っ掛かる。
「三蔵……今さ、チビ猿って言ったの……?」
「間違って無いだろ」
この男、しゃあしゃあと人が気にしてる事を……!
「はいストップ。なまえ牛乳買ってあげますから大人しくしててくださいねー」
三蔵に掴みかかろうとしたが、八戒の顔を見て背筋が凍った。
八戒だけは敵に回しちゃダメなやつだ。絶対に……!
「なまえって俺よりチビだもんなー」
わたしにしか聞こえないように耳元で言った悟空を蹴り飛ばし、わたしは宿に向かっていった。
三蔵にチビと言われようが、今日は一人部屋という事で機嫌が直るわたし。
着替えとか流石に気ぃ遣うしね。
そして部屋に着くなり、わたしは久しぶりに手帳を開く。
仕事の予定で埋め尽くされたカレンダーと、幼い頃の家族写真。何も知らなかったな、わたし。
――コンコン。
不意にノックの音が聞こえ、ドアを見やると八戒が立っている。
「ちょっといいですか?」
.
26/180←|→
List|Top|Main