無一物

(5/6)
次第に揺れは強くなり、壁からは小さな破片が落ち始めている。



「先生と俺との約束。俺が負けるまでのゲームなんだ。先生の遊んでるゲームなんだ」


「何だよソレ、おかしーだろ!」



悟空がそう声を上げた時だった。今までオモチャに埋もれていたなまえが走り寄り、すっかり弱々しくなったカミサマの肩を揺すりながら叫んだ。


「逃げるよ。早く逃げるよ!ここから逃げて……オモチャじゃないって証明するんだよっ!!」


「何で……」


「何でじゃねぇ!なまえちゃんの言う通りだ。それじゃあてめぇも金閣銀閣と変わんねーだろうが!」


「……いーんだよ。俺、ここで待ってるんだ」



バシッと、悟浄となまえが掴み上げた手を振り払ったカミサマ。

それでもなまえは諦めなかった。


「絶対だめ!行き着く所がこんなだなんて……」

「悟浄!なまえ!天井が!」


落ちてくる天井や壁は、もはや破片と言えるような大きさでは無くなっていたが、それでもなまえはカミサマの法衣を掴んで放そうとはしなかった。


「なまえちゃん!危ねぇ!」


悟浄は強引になまえを抱え、出口に向かって引っ張り出した。


「お願い教えて……!こんな最期しか望めないの?何で……」



「さっさと走れ!」


誰の声とも解らず飛び交う声の中ドアを抜けた瞬間、カミサマの口元が動いたが、城の崩れる音に紛れて消えた。









瓦礫の嵐を何とか通り抜けた後、倒壊した城を振り返りながら座り込む。



「アイツ結局何者だったんだろ」


「……さぁな。興味ねぇよ」


「──いいんじゃないですか?"カミサマ"って事で」






流れる雲を眺めて思う。





──ねぇ"神様"っているの?

.
159/180

ListTopMain
>>Index