無一物
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次第に揺れは強くなり、壁からは小さな破片が落ち始めている。
「先生と俺との約束。俺が負けるまでのゲームなんだ。先生の遊んでるゲームなんだ」
「何だよソレ、おかしーだろ!」
悟空がそう声を上げた時だった。今までオモチャに埋もれていたなまえが走り寄り、すっかり弱々しくなったカミサマの肩を揺すりながら叫んだ。
「逃げるよ。早く逃げるよ!ここから逃げて……オモチャじゃないって証明するんだよっ!!」
「何で……」
「何でじゃねぇ!なまえちゃんの言う通りだ。それじゃあてめぇも金閣銀閣と変わんねーだろうが!」
「……いーんだよ。俺、ここで待ってるんだ」
バシッと、悟浄となまえが掴み上げた手を振り払ったカミサマ。
それでもなまえは諦めなかった。
「絶対だめ!行き着く所がこんなだなんて……」
「悟浄!なまえ!天井が!」
落ちてくる天井や壁は、もはや破片と言えるような大きさでは無くなっていたが、それでもなまえはカミサマの法衣を掴んで放そうとはしなかった。
「なまえちゃん!危ねぇ!」
悟浄は強引になまえを抱え、出口に向かって引っ張り出した。
「お願い教えて……!こんな最期しか望めないの?何で……」
「さっさと走れ!」
誰の声とも解らず飛び交う声の中ドアを抜けた瞬間、カミサマの口元が動いたが、城の崩れる音に紛れて消えた。
瓦礫の嵐を何とか通り抜けた後、倒壊した城を振り返りながら座り込む。
「アイツ結局何者だったんだろ」
「……さぁな。興味ねぇよ」
「──いいんじゃないですか?"カミサマ"って事で」
流れる雲を眺めて思う。
──ねぇ"神様"っているの?
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