雨振り

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――コンコン。

ノックに気付いた八戒はドアを開けて目を見開く。


「なまえ、その格好どうしたんです?さぁ、兎に角中へ」


そう言ってタオルと温かいお茶を出してくれた八戒は、何も言わず温かく見守る様な目でわたしを見つめ、溜め息を吐きながら窓に目を移した。


「三蔵ならほっときない。なまえが思ってる様な事は間違っても無いですから」


わたしの頭をタオルで優しく拭きながら八戒が言う。けれども、わたしの涙はタオルで何度拭っても止まらなかった。
それでも降り続く雨音が耳障りで、わたしの行くべき道の前をグチャグチャにしていく。


「八戒、今日、わたしと同室でいい?」


俯いて声を振り絞ったわたしの声を聞くと、八戒は部屋の窓辺に移動し三蔵を見やる。


「僕はまだ生きていたいんですけどねぇ」


そう言って窓から三蔵を眺めながらクスクスと笑っていた。


「何でなまえと三蔵は同室が多いか解ってますか?」


それは……。
とれる部屋は大抵二部屋か三部屋。
悟浄と同室は(身が)危険だし、悟空は鼾が煩いもんだから、必然的に悟浄と悟空の二人は固定という暗黙の了解。

二部屋の場合は残りの三人が同室になるが、三部屋の時は、いくら何でも女のわたしを一人にさせられないと、八戒か三蔵と同室になる。


「それが……?」

「解らないですか?……じゃあこっちに来て下さい」


含み笑いをする八戒はわたしを窓辺に呼び、わたしが近付くと八戒にそっと抱き締められた。


「ちょっ、八戒っ?」

「すいません、少し我慢してて下さいね」


そうして抱き締められたまま八戒を見やると、笑顔で言った。


「そろそろ三蔵に観念して頂きましょう」

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