雨振り

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胸糞悪い……。
あいつと居ると嫌いな雨も関係ねぇ。



『八戒と寝るね』だと?馬鹿も休み休み言え。勝手に人の心に土足で入りやがって。



俺は苛立っていた。なまえに対する感情を抑えられない事への苛立ち。


一緒になんて寝れるかよ。かと言って他の奴と同室にするなんて言語道断。そのお陰でこの様か。


俺が何気なく宿の方を見やると、八戒の部屋に二つの人影が見えた。


「チッ、なまえの奴……」



俺は悪態付くものの、好ましく無い雨で頭を冷やす様に、ただ黙って雨に打たれた。


すると二つの影が急に近付き、すぐさま一つに重なった。


「……八戒、ここまできて……冗談じゃねぇ……」



俺の頭は冷えるどころか熱くなるばかりで、気がつけば八戒の部屋のドアを怒りに任せて蹴り上げていた。


「お前等何してやがる?」

「ほら見なさい、なまえ」


これは八戒の策だ。俺は八戒の一言によってそう理解した。


俺はズカズカと部屋に上がり込み、なまえの腕を引き寄せ、踵を返した。


「危うく殺す所だったぞ、八戒」

「とんでも無い」


両手を挙げて降参の仕草で微笑む八戒に一瞥をくれ、俺はなまえを部屋に強引に引きずり込んだ。
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