I always ...
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「彼等は少し特別でね。彼等には健康診断という名目でいくつかの検査が義務付けられているんだが、……そのデータから僅かだが気になる事が見つかってね」
時折眼鏡に手をかけてそう前置きをした宝条は、ジリジリと攻め込むかの様に私を見て続ける。
「データからの推測ではあるが、ほぼ間違いないだろう」
ここへ来て完全に自分が優位であると感じたのか、宝条はたっぷりと時間をかけてから次の言葉を発した。
「彼の身体能力が僅かに基準値を下回っているのだよ。彼、ジェネシスの……ね」
一歩また一歩と近付いてくる宝条は恍惚とした表情で、それがなんとも癪に障る。そして、そろそろチェックメイトだとでも言いたいのか、彼は私に手を伸ばす。
「さあ、帰ってきなさい。私のサンプル……」
「……嫌です」
震える声を搾り出してそう答えたが、彼にとってはただの悪あがきにしか見えないだろう。
「断る……というのか?」
「はい。お断りさせて頂きます……」
私は知っているのだ。
薄ら笑いを浮かべ、尚も自分を信じて止まない彼がいくらこの世界屈指の天才科学者だとしても、彼では駄目だと言う事を。
「もう一度聞く。君の決断は、元の世界に帰れなくてもいい。そして、彼をも見捨てるという事で相違ないな?」
「勘違いしないで下さい。私には私の考えがありますから」
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