Encounter04

男は観世音菩薩と向き合った。今も尚、見守り続けているであろう観世音菩薩に、男は聞いてみたいと思った。

ここまで来てもまだ看る決心のつかない男は、観世音菩薩がなぜ自分を共犯者と呼ぶのか、ふとその理由を知りたいと思ったのだ。


今この場で蓮池を覗くのは容易いが、なんの心構えも無いままでは見届ける前に崩れてしまうかもしれない。

そうなる前に、この観世音菩薩がどんな思いで繋ぎ看てきたのか、聞いてみてからでも遅くはないと思った。

ここでは時間を気にする必要は皆無なのだから。


「お伺いしてもよろしいですか?」

「何だ、面倒なのは勘弁だぞ?」

「まぁまぁ、そこを何とか教えて下さい。共犯者、なんですから」


男のそんな申し出に、観世音菩薩は笑みを浮かべる。迷いながらも己のエゴを貫いた自分をこの男に重ね、この男もまた、その時の自分と同じ思いを抱えている事に安堵したのだ。


「ま、立ち話はアレだ、腰にくる。あっちで座ってなら聞いてやらねぇ事もねぇよ」


本当は自分自身の方が話したいのだ。

事情を知る一部の者にも解り知れない身の上話を、共犯者であるこの男にしか解らないであろう、この身の上話を、話したくて仕方ないのだ。


「ついて来い。……あのクソ不味い茶を飲ませてやるよ」



Encounter.
それは手を伸ばす事も、支える事も出来ない場所から、看あぐねている者が絶対的な力で繋いだもの。

しかし、いくら絶対的な力で引き寄せても、行く末の前では無力なのだから、これをエゴと呼ばずしてなんと呼べようか。


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