Around

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私が目を覚ました時、セフィロスの顔が間近にあった。


見れば見るほど浮き世離れしている彼の姿は、彼が実在しないと証明できる救いだったのに、触れている部分から伝わる体温は生身のもので、呼吸にあわせて微かに上下する胸元は、彼が生きている確たる証拠。



ゲームなんだから、どうって事無いんじゃなかったの?



「……つまらないゲーム」



高い天井に向かって吐き出すと、重力に負けた涙が蟀谷を伝っていくから、この非現実がやけにリアルに見えてくる。



現実と非現実。その境目を見紛ってはいけないんだ。



「……何故泣いている?」



不意に右側から聞こえた低音に胸が締め付けられる。



「ただのホームシックだよ……」



上手い言い訳が出来ない私が涙を拭いて背を向けると、セフィロスは私に腕を回しそっと引き寄せ呟いた。



「……帰る方法は見つかりそうか?」

「……セフィロスが博士を説得してくれればね」



セフィロスの顔は見たくなかった。


だって狡いよ。
普段は無表情で隙なんて無い無敵の英雄と呼ばれてる癖に、すっごく優しく抱き締めるんだもん……。
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