あの夜の続き
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簡単にすり抜けられるはずなのに、なまえはその腕の中に留まった。
「お前に呪われるのなら本望だヨ。お前が逝かないで居てくれるのなら……」
なまえはただ涙した。
今まで一度としてカカシはなまえに返事をしなかったが、お互い何となく通じていると解っていた。
毎朝なまえがカカシに最後まで返事を強要しないのも、そんななまえに毎朝カカシが付き合うのも、お互いがお互いの無事を願っての事。
帰って来たら聞かせてね。帰って来たら聞かせるヨ。
だから何が何でも帰って来るんだ。
なまえに聞かせてあげる為に。カカシに教えてもらう為に。
「なまえ、帰って来い。俺はお前が……」
『待って、その先はまだ言わないで』
不自然に透き通った涙を浮かべながらなまえはカカシの言葉を遮り、不自然に透き通った体でカカシの頬に触れる様な仕草をする。
『今は……聞きたくない……』
その時訪れた暫しの静寂にカカシは息を詰まらせたが、なまえはそれを一瞬で解きほぐすかの様に微笑みカカシをすり抜ける。そして自分の体に手を伸ばした。
『カカシは私が居ないと幸せになれないんでしょ?』
なまえはそう言いながら、今度は弾かれる事なく自分の体に触れていく。
『心残りはひとつだけ……』
「なまえ……」
そしてカカシは息を飲んだ──。
『やっぱりカカシを残して死ねないや』
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