俺だけの
(2/3)
ある日、任務を終えたばかりの俺が一軒の家の前を通り過ぎようとした時、急に目の前の家のドアが開いた。
「いろいろすみませんでした」
「いえ。是非また」
そういって頭を下げているのは間違いなくなまえで、その向かいに立っているのは最近よく見る男性客。
何でなまえがこの家から出てくるのかと、俺の中の嫉妬心は最早子供じみたものではなくなっていたが、まさかなまえが、と必死で気持ちを落ち着かせようと試みた。
そしてふと冷静になまえを見れば、店のロゴの入ったエプロンが見え、俺の心配は杞憂に終わり安堵が押し寄せる。
本当、俺もまだまだだ〜ネ。
苦笑しながら俺に気付かず先を歩いているなまえにそっと近付き、何も無かったように声を掛けた。
「なまえ、何してるの?」
「わっ、カカシっ。びっくりしたぁ」
驚いた顔をして『仕事で届け物に来た』と俺に告げたなまえはすぐに笑顔を向けてくれる。俺のつまらない勘違いの嫉妬心は、このなまえの笑顔で優越感に変わっていく。
俺だけが知っている、俺だけの笑顔。
「カカシ、今帰り?」
エプロンを外しながら、今日はこのまま直帰だと言うなまえの小さな手を握り、並んで俺の部屋へと歩き出す。夕暮れの里の木々の間をぴったりと寄り添いながら、時折何気ない会話に漏れるなまえの笑い声。
俺は心配性なんだろうな。
今俺に向けられている笑顔は、ガラス越しに見えた笑顔じゃない。俺の独占欲は少しずつ満たされ、そして更に渇望し、俺はどんどん欲張りになっていく。
「なまえ……」
部屋に入るや否や、俺がなまえの髪に触れると訪れる柔らかな時間。それを腰に添えた手でそっと引き寄せる。向かい合って見つめ合ったら、そこにある二人だけの甘い時間をしっかりと抱き締める。
「カカシ?急にどうしたの?」
腕の中で俺を見上げるなまえには、警戒心などというものは全く感じられず無防備で、それが俺の心をそっと擽る。
「何だか無性に見たくなってネ」
「何を?」
軽く笑みを浮かべて聞き返すなまえをぎゅっと抱き締めた。
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