Rainy Day

(3/6)
退屈な待機任務。
お互いに自分で選んだ道だし、それについて何か言うのが反則だって事くらい解っているのに、やっぱり心配で仕方ない。


「今日の雨は最悪だよ!」


任務から帰った面々が口を揃えて言う。
傘は役に立たず、普通に歩くだけで服はずぶ濡れて泥塗れになるほどの雨に、そう口にしてしまうのは仕方ないが、今の俺には複雑だった。

待機所内を見回し、同じく待機している数人に声を掛ける。


「俺、帰るから、何かあったら呼んでネ」


周囲の返事も聞かぬうちに待機所を出て、気休めにもならないであろう傘をさして自分の家へと続く細い路地に差し掛かると、俺の口からは本日何度目かの大きな溜め息が零れた。


この雨では意味を為さないから傘をさしていないのか、前方には全身びしょ濡れの彼女が、その手の傘をまるでステッキか何かのように踊らせながら歩いている。


無邪気と言えば無邪気だが、本来の彼女とはあまりにも正反対な彼女の仕草と雨音に息を飲んだ。


水溜まりに何かを描くように傘先をつけ、すーっと線を引いては激しい雨粒に歪められてあっという間に消えていき、それを見た彼女は動きを止める。


そして一度だけ空を仰ぎ、彼女はゆっくりと振り返った。


雨水が滴っているというより、全身から流れていると言った方が正しいだろう。
目に見えなくともあらゆる物が激しい雨に打たれて細かく振動している中、その劈く雨音の中で彼女だけが静止していた。
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