Rainy Day
(4/6)
そしてゆっくりと動き出す時の中、彼女は俺に手を振った。
「あ、カカシ!今日はもう終わりー?」
豪雨にも負けないよく通る声と拍子抜けするような笑顔は、俺に心配をかけまいとしているのが容易に解る。
「なまえこそ傘もささずに何やってんのさ」
一歩一歩、距離を縮めて行く俺に彼女は言う。
「今日はこの大雨にすっごく助けてもらっちゃった」
先程とは打って変わり、なまえの顔が憂いを帯びる。俺はそんな彼女を見る度に、その日の任務がどれ程のものだったのかと推測してしまうのだ。
話す事は決して許されない、吐き出し口のない彼女の裏側を、ほんの少しでも共有できれば、ほんの少しでも彼女の拠り所になれればと、雨にうたれている彼女の手を取る。
すっかり冷えた細く頼りない手。その手はゆっくりとと俺の手を握り返し、彼女は呟く。
「カカシの手、温かい……」
そんな一言でさえ嬉しく思うのは、それが少なからず彼女に笑みを齎すもので、更には俺自身を受け入れてくれているから。
目を細め、彼女に視線を落とせば微笑む彼女は、俺に体を寄せて歩き出す。存分に吸い続けては滴る雨水も、この時ばかりは不快感を感じない。
彼女の隣なら、如何なるものも幸せに思える。そう思える相手が彼女なのだ。
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