モテる男はお辛いですか?A

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翌朝、カカシはいつもの様に任務に出掛けて行ったが、今日はお姫様とは別の任務という事で、早く帰って来れるらしい。

カカシは明るい顔で、『夕飯は秋刀魚ネ』と残して玄関を出て行った。


私は午前中の内にあらかたの家事を済ませ、散歩がてらに買い物に出掛ける。



外に出れば強い日差しが疎ましかったが、久しぶりにカカシとゆっくり出来る今夜が楽しみだった。



カカシから預かった食費の入った財布を握り締めながら歩いていると急に呼び止められた。



振り返りたくない。
だって解っちゃったもん。この百合の香り……。



「なまえさん」



それでも振り返ってしまった私。


その長い髪が風に揺れる度に百合の匂いがする。


「えっと、更紗姫…ですよね?」

「更紗でよろしいですわ。それよりなまえさん、少しお時間頂けますか?」



……まったく上手い言い訳が出て来なかった私は、呆気なくも捕まってしまった。


『近くの茶屋にでも』と更紗さんに連れられ隣を歩く。横目で見やれば本当に美人で、深い緑目に吸い込まれそう。


店に着き向かい合って座れば、直視するのも躊躇いたくなる程。

ふわっとした目を緩め、遠慮がちに笑った更紗さんはいきなり直球できた。



「昨晩カカシさんに伺いました。なまえさんとお付き合いなさってると……」



更紗さんは垂らした髪を耳にかけ、遠くを見つめながら言葉を紡ぎ始める。



その時、百合の香りが一層鼻についた気がした。

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