モテる男はお辛いですか?B
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「……カカシさん……?」
すっかり雨も止んだ頃、更紗さんは目を覚ました。
「雨にあたった所為で熱があります。あまり無理をなさらないで下さい」
一刻も早く帰りたかった俺は、苛つきの所為で言葉のトゲトゲしさを隠せない。
「直ぐに医療班を手配しま……」
「行かないで下さい!」
覚束無い足取りで縋る更紗さんは、目に涙を浮かべ、漆黒の髪と深い緑色の目に映る俺がすぐ側に見える。
俺はそれに耐えきれず目を背け、更紗さんになまえと何があったのかと聞いた。
「私が不躾な事を言ってしまったばっかりに……、なまえさんに不快な思いをさせてしまいました……」
熱の為に頬を紅潮させ、肩を震わせ涙を流す彼女は絵画の様で、一瞬俺を戸惑わせた。
「一言謝罪をと、なまえさんを家の前でお待ちして居りました。やっとなまえさんが出て来て下さったのですが……。ご覧になった通り謝る事も叶いませんでした」
更紗さんが嘘をついている素振りは無い。
ではなまえは謝りに来た更紗さんを雨の中突き飛ばしたという事か?
仮にそうだとしても、なまえにそこまでさせたのは、彼女と、俺だ。
解っていながらも直ぐになまえの元へ行けない俺はどうすればいい。
「ご迷惑は重々承知ですが、何分カカシさん以外に心許せる方がいません故……、今晩一晩だけでも……」
これも任務と言って片付けてしまってもいいのだろうか。
眠りについた更紗さんは、時折熱に魘されながら俺の手を握る。
この手を振り払う事も許されない任務でも、なまえは俺を信じてくれるだろうか……。
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