遠回し

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私がリビングに入るといきなりカカシが飛び付いてきた。その姿は目を輝かせながら尻尾を振る犬そのものだ。


「なまえ、長期休暇なの?」


カカシはニヤニヤしながら抱き付いてくる。私は怪訝な目でカカシが何を言い出すのか様子を伺っていた。


「なまえ、やっと書いてくれるんだよネ!」


……嫌な予感がしたので、とりあえずすっとぼけてみる。


「何を?」

「何って官能小説だヨ!」



するとさっきまで黙って聞いてたゲンマが勢い良く酒を噴き出した。


「汚い!!」


カカシと素敵なハーモニーを奏でると、ゲンマは咳き込みながら声を荒げる。



「ゴホッ。お前が官能小説だぁ?」



ゲンマは私を舐める様に見た後、こう付け足した。


「お前みたいな気の強ぇだけの、口悪色気無しのガキがか?」


と鼻で笑う。
えぇ、ですから全然売れませんでしたが何か?それより気に入らない枕詞が多く無いですかっ!



私の怒りメーターが振り切れる直前、カカシが爆笑しながらゲンマに官能小説を手渡した。


「ゲンマ、いいからなまえの本読んでみなヨ」


するとゲンマは眉間に皺を寄せ、ペラペラとページを捲っていく。



時折顔を赤面させながらゆっくりと顔を上げるゲンマを、カカシがニヤついて見やる。



「なまえ、これ借りてくぜ?」



うん、さっきの言葉を訂正してくれたらね。

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