初めての涙

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私が泣いたのを見て見ぬ振りしてくれてるのはカカシの優しさ。だからカカシが悪気があった訳じゃないって解ってるよ?


でも、例え危険と隣合わせでも、国の為だからという思想など持ち合わせていない私には、凄く恐かった。



殉職なんてそう身近に無かった私は思い知る。カカシの抱き締める腕に力が籠もれば、こんなにも愛しいのに。


世界が違うんだ……。




「なまえ?」


カカシの言葉で我に返り、ふとカカシを見上げれば切なげな目をしていた。怪我してる私を何から何まで助けてくれたカカシ。


その上カカシはお祝いまでしてくれようとしているのに……。




そう思った私はカカシに精一杯の笑みを向けて言った。



「ごめんね。カカシ、ありがとう」




カカシの表情が緩む。後ろではゲンマとアンコが早く来いと騒いでいる。カカシと苦笑しながら顔を見合わせ、私達は寄り添ったまま歩いていく。



その時私は思ったんだ。




例え住む世界が違くても、寄り添い合えるなら幸せなんだよ。


まるで自分に言い聞かせるように。そう言い聞かせないと、この不安に押し潰されてしまいそうだったから。

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