消えた帰り道
(3/7)
大きな溜め息を吐き出した時だった。
───ガタガタガタッ!
突然轟音が響き部屋が大きく揺れ出し、視界は傾き、私は椅子から転げ落ちた。
「うぎゃっ……」
「なまえ、大丈夫!?」
カカシが支え起こしてくれた時には揺れはおさまていて、ふとゲンマに目をやればその眉間には深い皺が刻まれている。
「カカシ、ありがとう」
再び椅子に腰を下ろしゲンマに視線を投げたが、ゲンマのその姿は変わっていない。
私はその時、とうに忘れていた事を思い出しハッとした。縋る様にカカシを見れば、カカシも同じ事を考えている様だ。
「あれだけ揺れたのに、室内の物は何一つ倒れてねぇ……」
ゲンマのその言葉を聞いて、私は一目散にクローゼットへ向かった。
あの時と同じだ……。
後からついてきたカカシとゲンマに目配せして、私は一気にクローゼットを開け放つ。服の間を掻き分けて、向こうの世界への入り口を探す。
クローゼットの背の部分には光は届かずいつも真っ暗で、手を添えれば触れる事も出来ない何もない空間で、その先は木の葉へ繋がっていたのに……。
今目の前にあるのは、本来の、ただのクローゼットでしか無かった。
「クローゼット……、繋がって……ない……」
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