蟹は高級食材です
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どれくらい経った頃だろう。本当に無心で食べていた私は店員さんに時間だと告げられた。
それはタラバとの別れを意味するもので、涙を堪えるのがやっとだった。
「なまえって蟹食べてると何にも聞こえなくなるんだネ」
「お陰でゆっくり堪能できたぜ」
当たり前です。食べてる時は喋りません。聞こえません。蟹と対峙してますから。
タラバに後ろ髪を引かれつつも伝票を持ってレジへ向かったが、ここに来るとカカシとゲンマが妙によそよそしく感じた。
私はカカシからチケットを受け取りバッグから財布を取り出し、二人の顔が仄かに色付いている事から、結構飲んだと推測される。
しかし、私は次の瞬間固まった。
「お会計、22万8700円です」
私の魂が抜け出して、掌から財布がぽとりと落ちた。
「お支払は現金ですか?」
「…………カードで」
震える手で書いたサインは読めるだろうか?
この領収書は何だろうか?
「二人共、何食べた……?」
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