蟹は高級食材です
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「蟹チャーハンと蟹玉スープに、蟹刺しに蟹グラタン、蟹コロッケ。それぞれ五人前くらい?」
「あと蟹雑炊と甲羅酒も絶品だったな」
「あー、あれはいくらでもいけるネ」
頭に血が昇っていくのが解る。無意識の内に歩く速度は増して行く。
「ね、二人共さ、食べ放題は蟹しゃぶだけって知ってたよね?」
「いや、知らない」
大きな交差点に差し掛かった所で私は歩を止めて二人を交互に見るが、そこで睨み付ける気力は残されていない。
すると雑踏に紛れて携帯が鳴り、画面には"学"の文字が映し出されている。
ま、まさか……。
「もしもし!学!」
『あ、姉ちゃん。蟹はもう行ったの?』
学は笑いを堪えながら話し始めた事で私はやっと確信した。
「学っ!ハメやがったなっ!」
『人聞き悪ぃよ。でもその調子じゃ、ちゃんと三人で行ったみたいだな』
学の所々上擦った喋りが癪に障る。
「学、二人に何て言った?」
『ん?姉ちゃんは蟹に集中しちゃうから気を付けてって言っただけだよ』
それだけ言うと電話は一方的に切れた。
学め、何か都合の悪い事がある証拠じゃないか……!
私はカカシとゲンマに向き直り問い詰めた。
「二人共さぁ、学に何て言われた?」
「たしか、蟹食べてる時のなまえは自分の事で手一杯だから、食べたい物は自分で注文するといいって聞いたんだよネ、ゲンマ?」
「あぁ。本当に運ばれてきた料理にも気付かねぇのな」
神様、私は蟹しゃぶだけですか……?
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