蟹食べ放題への道

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このなまえそっくりな弟学は、今年の春から社会人になったばかり。姉であるなまえと連絡がつかない為、ちょうどこの近くでの仕事ついでに訪ねて来た様だ。


何とかクローゼットの事は誤魔化せたものの、四人でテーブルを囲むと目の前には同じ顔が二つ並ぶ。



「しかし本当、よく似てやがるな」

「よく言われるんだよねー。わたしが男っぽいのか、学が女っぽいのか……」



なまえはお茶を口にしながら学を見やるが、学は俺とゲンマを鋭く見据える。


プルル―…、プルル―…。



その時なまえの携帯が鳴り、それが仕事の話の様で席を立つと、学は徐に口を開いた。


「ねぇちゃん、元気でやってる?」


さっきまでの鋭い視線は儚く脆く、心配が色濃く現れている表情を見せる学。


「うん、元気だヨ」


学の心配を完全に払拭するには値しなくとも僅かに明るくなる学を見て、俺はなまえの研究所での一件を思い返していた。



なまえを置いて行こうとする母と、それを必死で止めようとしていた弟、それが学なんだろう。



「そっか、なら良かった」



学は電話をするなまえに目をやりながら言葉を吐き出した。

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