モテる男はお辛いですか?@
(4/8)
カカシはこの日もお姫様の護衛で、私が暇を持て余していた所ゲンマがやって来た。
「なまえ、カカシが居なくて暇だろ?別に遊んでやってもいいぜ?」
「三十路目前男が寂しい事言ってんなぁ」
「うっせーよ。……おっ、あったあった」
ゲンマの目的は私じゃない。この間カカシにプレゼントした非売品の官能小説だ。
カカシが居ると読めないもんねぇ。
ゲンマが読みふけっている様をぼーっと眺めているだけの私。
するとそれに気付いたゲンマは苦笑しながら言った。
「しょうがねぇなぁ。メシでも食いに行くか?」
「そうこなくっちゃ!」
私は餌付けされるが如く尻尾を振りながらゲンマと外へ出た。
茜色の空がカカシの左目を連想させたが、頭をぶんぶんと振って私は勢い良く酒酒屋の暖簾を潜ったその時、勢い余って誰かにぶつかってしまった。
――ドンッ。
「きゃっ……」
「すみません!大丈夫ですか?」
急いで相手に顔を向けた時、あのむせかえる百合の香りが鼻先を掠めたんだ。
「いえ、こちらこそすみませんでした……」
漆黒の腰まである髪を真っ直ぐに垂らし、深緑色の瞳の美しい女性は歌う様にそう言い、百合の香りと共に奥の個室に消えて行った。
私はその女性の残像を見つめたままゲンマに声をかける。
「ねぇゲンマ、あの人って……」
「あぁ、あれが更紗姫だ」
じゃあカカシも来てるんだ……。
.
131/201←|→
List|Top|Main>>
Index