ただの下忍です
(4/9)
世間では夕食時なのか歩く人影も疎らで、家々の前を通ると何処の家にも明かりがともり、良い香りが漂ってくる。
そんな平穏な空気は日頃の激務を労うかの様に穏やかで、それについつい目を細めてしまいながらも、俺となまえは更に先へと歩いて行く。
それから程なくすると、上からの明かりを遮るように、青々とし始めた木々が生い茂った森の入り口が見えてくる。
昔、なまえが夜中に家を抜け出して修業していたあの森だ。
その森の中に入って行き、少し拓けた所に出ると、なまえは俺の方を振り返った。
「私、本気でやるけどいいよね?」
なまえはそう言って額当てを結び直し、足元に落ちていた適当な小石を拾い上げる。
「俺、明日も任務があるんだよね」
ポケットに手を突っ込んだままそう返したが、なまえは既に体を解している。
「ご飯奢る」
「それだけじゃ割に合わないな」
「……ただの下忍の相手じゃない。……じゃ食後のマッサージも付けるからさ」
「……ま、それなら交渉成立かな」
お互い向かい合って一呼吸すると、なまえは拾った小石を高く真上に放った。
「あの小石が落ちてきたらスタートね」
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