ただの下忍です

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世間では夕食時なのか歩く人影も疎らで、家々の前を通ると何処の家にも明かりがともり、良い香りが漂ってくる。

そんな平穏な空気は日頃の激務を労うかの様に穏やかで、それについつい目を細めてしまいながらも、俺となまえは更に先へと歩いて行く。


それから程なくすると、上からの明かりを遮るように、青々とし始めた木々が生い茂った森の入り口が見えてくる。

昔、なまえが夜中に家を抜け出して修業していたあの森だ。


その森の中に入って行き、少し拓けた所に出ると、なまえは俺の方を振り返った。


「私、本気でやるけどいいよね?」


なまえはそう言って額当てを結び直し、足元に落ちていた適当な小石を拾い上げる。


「俺、明日も任務があるんだよね」


ポケットに手を突っ込んだままそう返したが、なまえは既に体を解している。


「ご飯奢る」

「それだけじゃ割に合わないな」

「……ただの下忍の相手じゃない。……じゃ食後のマッサージも付けるからさ」

「……ま、それなら交渉成立かな」


お互い向かい合って一呼吸すると、なまえは拾った小石を高く真上に放った。


「あの小石が落ちてきたらスタートね」

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