隙間から覗く君

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「見損なわないでよ」


なまえの言葉には僅かに殺気が感じられ、場の空気は更に重く冷たくなるばかり。しかもなまえがここまで怒りを露わにする姿は初めてだ。……にもかかわらず、この男には全く引く気配は無い。


「何でそんなに冷たいんだよ!……俺の、親友なんだよ……」


頼む……と、藁にも縋るような声で呟く男と、それでも尚突き放すなまえ。いまだ状況を把握しきれないが、そこで交わされた少ない会話からでもいくらか想像出来る。


「もしかして君、……すごく危ない事を頼んでない?」


出来ればただの杞憂に終わって欲しかったが、彼からの返事は俺の予想した通りだった。


「なまえと付き合ったのも、最初からそれが目当てだったの?」

「……どうとってもらっても構いません」


この男は本当に解っているのだろうか。自分の頼み事がいかに人道を外れたものだという事が。


「君、早く帰った方がいいよ」

「そんな……!お願いします!どうしても助けたいんです!」


男がそう言った瞬間だった。俺の抑えていた怒りがじわじわと滲み出し、目の前の男の首にクナイを押し当てていた。


「ちょっ……な、何するんですか!?なまえ……何とか……」


勿論この場で切り付けるような真似はしないし、大それた事をしているとも思わない。なんせ、こちらも命がかかっているのだから。


「さっきなまえに言った言葉、そっくりそのまま返すよ。君、それでも人間なの?」

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