知らない昨日
(3/6)
「なまえは西の方へ走っていったわ」
紅の証言をもとに一斉に西の方角へ走り出したが、なまえが居るであろう付近に辿り着いた時、俺達は焦りと困惑に足を止められた。
「結構な人数とやり合ってんな」
「相手はほとんどが中忍みたいだけど上忍も居るわね」
「ああ。肝心なあの男は木の側で腰抜かしてるね」
この状況も相当なものだが、焦りの原因はそれだけじゃない。
「でもよ、なんであいつは気配を消さねぇんだよ」
そうなんだ。なまえは一切気配を絶っていない。いや、それどころか全身に薄くチャクラを纏い、多勢の中を走り回っている。
「ちょっと、なまえってあれしか忍術使えないの?」
木陰から様子を窺っている中、紅が眉を潜めるがそれもそのはず。なまえは先程から火遁と水遁のチャクラ性質をもっている者が、おそらくアカデミーで最初に習うであろう術しか使っていないのだ。
片手でも結べる印で発動するそれは、チャクラの消費も少ないが飛距離やダメージも微々たるものだ。いくらなまえの体術と移動スピードが優れていても、この人数相手では長期戦は避けられそうもない。
「あれじゃなまえの体力がもたないだろうよ」
「どうする、カカシ?加勢する?」
そう目の前の二人に視線を向けられたが、それ以外にもう一人、俺に視線を向けている者が居た。
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