嫌になる程抱きしめて
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なまえが心の中でカカシの名前を呟いた時だった。
突然バーンという音がしたと思えば小屋のドアがぶち破られ、物凄い冷気が入り込んでくる。それはなまえにも解るほど凄まじいもので、そのお陰か、大男のクナイは小屋のドアに向けられた。
「だ、誰だ?」
ヒューッと冷気が小屋の中を一回りしてから大男がそう叫んだが、それは次の瞬間悲鳴に変わった。
「うわっ……うぐっ……」
一瞬の出来事になまえが息を飲んで目の前を見れば、そこには今まで見たことの無い顔をしたカカシが大男を締め上げていた。
「……カ……カシ……?」
しかしなまえがカカシの名前を呟くとカカシの表情は一変し、いつもの穏やかな顔でなまえを見つめる。
「なまえ、大丈夫?何にもされて無い?」
「う……うん……」
何か見てはいけないものを見てしまった様な気持ちになったなまえが戸惑いながら頷くと、小屋のドアからゲンマが顔を覗かせる。
「おいカカシ、いきなりドアをぶち破るなんてそれでも忍かよ……」
「これは任務じゃないんだからいいんだヨ。それよりなまえを頼むヨ、ゲンマ」
ゲンマは溜め息をつきながらなまえの所まで歩み寄り、なまえを小屋の外へと連れ出した。
「……ゲンマ、カカシは?」
「あぁ、すぐ来る」
それから数分と経たないうちに爆音と共に山小屋は倒壊。そして爆風と砂埃に紛れてカカシが戻って来た。
「なまえ、大丈夫?怖かったネ」
そう優しく微笑みなまえの頭上に手を伸ばしたカカシだが、なまえの視線の先を見てハッとする。
「なまえ……」
「あの人達……どうなったの……?」
カカシはなまえが言わんとしている事を察すると眉をひそめ言葉を詰まらせた。ゲンマはそんなカカシを見ては、カカシの変わりになまえに伝える。
「なまえ、忍はあれくらいじゃ何とも無いさ。怪我はしても自力で家まで帰れるだろう」
「……本当?」
ゲンマの話を聞いてカカシを見上げるなまえに、カカシは目を伏せたまま頷いた。
「……そっか。なんか……助けてくれたのに、ごめんね……」
「いいんだヨ。なまえが無事だったんだから」
──いつも何も言わなかったのは、忍の本当の姿を知らなかったからだろうか。
今……、なまえは明らかに俺に怯えている。
里へと引き返している道中、カカシはずっとそう考えていた。
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