メリークリスマス
「りんりんりーんりんりんりーん鈴がーなる〜」
今年最後の十二月二十五日。
今年最後のクリスマス。
そんな聖なる一日、私はソファの上でごろごろと寛ぎながら定番のクリスマスソングを歌っていると、お母さんが「あんたクリスマスなのにどこにも行かないのね」って憐れみの目を向けてきた。
「仕方ないじゃん」
「まあ、あなたの大好きな御幸くんは今頑張ってるもんねえ」
「…」
そう。あいつは一昨日から合宿が始まった。御幸曰く、「地獄の冬合宿」が。こんな寒い中大変だなーなんて思うけど、あそこは御幸みたいな野球バカいっぱいだから、こんな真冬でも野球するのが当たり前なんだろうな。
とまあ、御幸とはクリスマスにデート行けないことなんざ冬休み前から把握済み! 合宿終わってからの短いオフでデートもお泊りも約束してるし、年始は未来が明るい! わはは! でもやっぱり、さすがにクリぼっちって悲しいんだよねえ。
仲のいい友達にLINEを送れば、みんな「ごめんね、今日はずっとかれぴっぴと過ごすの(はぁと)」って同文で返してきた。おまけに友達とその彼氏のツーショット付き。なんなんだ一体。絶対グルで計画して送ってきてるだろ。
というわけで、彼氏も友達もいない私は家でだらだらするしかなかったのだ。クリスマスのクの字もありゃしない。
「みずき、携帯鳴ってるわよ」
「んー」
お風呂上がり、八時過ぎくらい。髪の毛をタオルで拭きながら携帯の画面をのぞくと、「御幸」の文字が見えて急いでロック画面を解除した。
メリクリ〜。御幸サンタからみずきちゃんへプレゼント
その文章と一緒に添えられたのは、とても豪華なご馳走や、色々なケーキの写真だった。あーなんか毎年クリスマスは野球部でパーティするとか言ってたな〜とか思っていたそのときだった。
やっぱお前は食べ物が似合うよな! あ、でもこれ以上太ったらやべえな
これ見てよだれ垂らすなよ
「……あんにゃろ……」
合宿明けだろうがなんだろうがいい。今度会うとき絶対にぶっ倒す。なんて思いながら、御幸からの数日ぶりの連絡と、そのプレゼントに頬を緩めていた。
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160902
その後、倉持から 御幸の野郎、肉とかケーキとか食ってる時「みずきにもこれ食べさせてやりてえ」「あいつ確かチョコケーキ好きっていってたな」とか、とりあえずうるさかったわ というLINEがきて、ある意味今年で一番嬉しいクリスマスプレゼントになった。ありがとう倉持サンタ。それを素直に伝えると「のろけんな死ね!」って返ってきた。ひどい。