シャーペンにときめく
ウザくて気持ち悪くてとにかく腹立つ、大嫌いだったクラスメイトが今では私の彼氏。なんていうか、私が言えることじゃないけれど、人生とは何が起こるかが本当に分からないと思う。
「ねえ御幸」
「ん?」
「御幸って、いつから私のこと好きだったの」
「いきなりだな」
「うん」
御幸と付き合ってから数日後の、とある休み時間。いつから? んー、いつからだろな。恐らく頭をフル回転しながら思い出してる御幸をじっと見つめる。付き合ったその日から気になってたんだよね。授業中に告白(今考えたら授業に何してんだよって感じだけど)をされたとき、結構アピールしたとか謎の発言をした御幸が未だに解せないのだ。ウザく突っかかってきたのもアピールに含むのか、はたまたお茶奢ったり頭ポンポンしてきたりがアピールだったのか、ラインが分からない。結論、本人に聞く。
「忘れた」
「は?」
「だから忘れた」
「忘れるもんなの」
「俺は忘れた」
「サイッテーだね」
「ごめりんこ」
「許さん」
何その回答。面白くないにも程がある。
「そういうお前は?」
「……」
「拗ねんなって」
「御幸が思い出したら教えてやる」
「はぁ」
「今めんどくせーって思ったでしょ、めんどくせーって!」
「分かってんじゃん」
「……やっぱお前ウザい」
「あんがと」
「一言も褒めてない!」
こんな口の悪い男みたいな奴でもやっぱり好きになった時くらい覚えててほしいとか乙女みたいなこと思うんだよ!このクソヤロウ! バカ御幸!
「仕方ねぇな、教えてやる」
「え、覚えてんの」
「あったりまえだろ」
「ならさっさと教えればいいじゃんか」
「勿体ぶったらみずきちゃん可愛いかなーと思って」
「うざい」
本気でうざくなってきたからもう前向こう。そろそろ次の授業のチャイムも鳴るや。
「みずき」
「なに」
「耳貸して」
「?」
仕方なく耳だけ傾かせてやると、耳元でふわりと囁かれた。
「一目惚れ」
「…は」
「本当だぜーはっは」
その瞬間、運悪くチャイムが鳴り響いた。いや、運良く、かな。とりあえず何に関しても余裕そうなこいつがウザい。背中をつんつんと突いてくるシャーペンにもときめいてしまう自分が怖い。あー顔あっつ。
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160703