嫉妬する


「御幸くん、いるー?」
「あ、いたいた。窓際の一番後ろの席」
「ほんとだ」

 休み時間。トイレから帰ってきた私は、二人の女の子がお目当ての人物を見つけて、我らが二年B組の教室へと入ってゆく姿を後ろからぼーっと見つめていた。そして二人が御幸に親しそうに会話する姿を遠目からぼーっと眺めていた。



「ねぇ、御幸」
「ん?」

 昼休み。御幸と一緒にランチタイム。場所はガヤガヤとうるさい食堂。私はお弁当、御幸は購買で買った掌サイズのパン五つ。さすが強豪野球部の胃袋である。

「今日の二時間目終わってからの休み時間、さ」
「うん」
「御幸のところに行ってた女の子、二人くらい居たじゃん」
「あー」
「……」
「ん?」
「………やっぱ何もない」
「いやそこで止めるか!?」

 良く響いた御幸の突っ込みの声は、賑やかな周りの影響で目立つことなく消えていった。やっぱ、言うの恥ずかしいもん。こんなこと聞こうとしてる自分がキモい。

「……そいつらのこと、気になんのか」
「ちょっとだけね、ちょーっと!!」
「ははーんそういうことか」
「は?」
「通りで三時間目始まるくらいからお前機嫌悪ぃなって思ってたんだよな。心当たりも何もねぇしどうしたもんかと思ったら……ははーそうかそうか、そういうことか」
「キモい黙れ喋んな」
「今日はずいぶん口が達者なんだな」

 やっぱり、こいつはいつでも余裕がある。むかつく。腹立つ。

「マネージャー」
「へ?」
「あいつらは野球部のマネージャー。スコアブック貸してくれって来たんだ」
「………ま、まねーじゃー………」
「そ。へえーいやぁ、みずきちゃんがヤキモチ妬いてくれるなんてなぁ」
「うざい」
「そんなに俺のこと好いてくれてたんだ」
「黙れ」

 なんて口では言ってるけど正直胸の中はとても安心していたりするのだ。御幸の言うとおりだ。私がヤキモチ妬くなんて……それほど御幸のことが好きなんだな。うっっわ気持ち悪。「ま、ちょっと安心したぜ」「なんでだよ」「俺ばっかりがお前のこと好きすぎるって思ってたからさぁ」平然としながらパンにがぶりつく御幸は、照れという感情がないのだろうか。私? 顔真っ赤だよバカ。

160704

   

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