プリクラを撮る
私はやっぱり疑問がある。どういう疑問かっていうのは、人間なら必ず思う疑問である。
どうして嫌な時間――例えばテスト期間とか嫌いな授業とかの時間は長く感じるのに、なぜ楽しい時間は一瞬に過ぎ去ってしまうのだろうか。不思議でたまらない。不思議で仕方ない。
なんと今日で御幸と初だらけ二泊三日デート計画(命名:私)が最終日を迎えてしまったのである。
今日の夕方には御幸は寮に戻るのだという。この最後の安らぎのオフ――御幸のために、やはり家でゆっくりゴロゴロ過ごそうかと考えていた。私的にはそれでも良いし、御幸にしてもそっちの方が変に疲れを溜めないだろうし良案だと思っていたけれど、御幸に出かける準備をしろと投げやりで言われ設けられた準備時間二十分で着替え、フルでメイク。強引だな。なんとか準備を済ませた私を褒めてほしい。女に二十分で準備しろといわれるハードさを奴は分かっていないな、こいつは。なんて思いながら御幸に連れてこられたのは。
「…え、まじ?」
正月セール真っ只中の人がごった返しているショッピングモールであった。いやいや、いかにも疲れやすそうな場所を選んだなおい。
「御幸、寄りたいとこでもあったの?」
「ん、いやまあな」
「は?」
「みずき」
「はい」
「プリクラ撮りにいくか」
「……は?」
キリっと眉尻を上げて、違うセリフならかっこよく決まっていたところですけど御幸さん、今すんごくあなたの頭の心配が凄いです。
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#プリクラ撮影中
「美白とかツリ目とかすげえなオイ…」
「ねえ、なんでプリ撮りたいなんか言ったの?」
「JKは撮りたがるもんだーって倉持が」
「倉持が!? ウケる」
「だろ。だから、まぁお前も撮りたがってんじゃねーかって。一応JKだから」
「うんその気持ちは有難いや。でも一応ってなんだよ一応って」
プリクラの機能(と私)、ひとつひとつにうるさい御幸とはじめての撮影後。
「はっはっは!! ひゃー待てやべえ死ぬ」
「笑いたいのこっちなんですケド」
「これが俗に言う盛れたってやつか。お前の目デカくなりすぎだろ」
「あのそれ言ったら御幸さんもね? いつもの刺々しい目がこんなきゅるんってなってるね?」
「しかも髪ツヤッツヤに見えんのな」
「…おい」
「やっぱりプリクラで撮った方が可愛」
「ちょっとお前いっぺん黙れよ」
この時、私たちのやり取りを間近で見ていた女子高生二人組の凄い顔を見てしまった私は少し恥ずかしくなったのであった。御幸? 相変わらず罵ってくるよ!!
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170612
(ねえ、あのカップルやばくない…?)
(え…うん…カップル、だよね…?)
(でもなんか…ね)
(ちょっと羨ましい…ね)
「あれ、ここのポーズのときお前の目なんか薄い?」
「…前髪かぶさりすぎて機械反応できず」
「はっはっは! シジミだな!」
「しね」
「嘘だって嘘だって可愛い」
「しね」
「ほら早く、せっかくのデートなんだし楽しむぞー」
「………うん!」
(切り替え早すぎ!?)