沢村がやってくる



「ちやっす! わたくし、野球部一年! 沢村栄純と申しやす! ポジションはピッチャー! この青道高校野球部の未来のエースっす!! で、あなたが、橘みずきさんですね!?」
「は、はい」
「お、お、おぉおおおーーー!! あなたが!! いやぁ、お目にかかれてこの沢村栄純、たいっへん光栄であります!!」
「うん、そっかそっかー分かったからとりあえず声のボリュームを少し下げようか」
「はいっ!」
「だから声でかい………」

 なんだこの子。野球部の一年って言ってたよね。何の繋がり? どういう? ん?野球部?

「あー御幸の後輩か」
「あぁ」
「なんで二年の教室に? 御幸に用があったの?」
「いや、お前目当て」
「は?」

 御幸の返事に頭の中がはてなマークでいっぱいになった。

「つかぬことをお伺いしますが、この御幸一也と現在お付き合いしているんですよね!?」
「……………まぁ、一応」
「一応ってなんだよ」
「なるほど! いやいや、みずきさんのことは良ーくお聞きしていやす!」
「え?」

 どういうことですか御幸くんとニッコリ笑うと、御幸はビクリを肩を震え上がらせ頬をぽりぽりと掻いた。

「このデリカシーのない! 性格悪い! 野球しか頭になくて女になんか全く免疫のなさそうな! この! 御幸先輩に!彼女ということで! 野球部で超噂になってたんスよ!」
「お前、俺先輩な」
「なるほどねぇ、まあ確かにそんな奴の彼女とか超気になるよね」
「おい、お前もこのバカに便乗するな」
「おお! みずきさんとは気が合いますな! 御幸先輩にもったいないくらい美人さんですし!」
「あはっ、えへへ、そお? そんなもう沢村くん美人なんて〜沢村くん可愛いからこの飴あげるね、どうぞ!」
「なっ! あなたは女神様か……! この沢村、一生このご恩とご厚意は忘れません! ………ハッ!! 気付けばもうこんな時間! それではみずきさん、またいつか!」

 嵐のような沢村くんは私があけた飴を握りしめて、二年B組の教室を出た。廊下から「やべえ、次体育ってこと忘れてたーー!」という彼の叫び声が聞こえてきた。あー多分今から速攻で着替えても授業には間に合わないだろうな。お疲れ様。

「……あの子おもしろかったね!」
「ずいぶんと意気投合してたな」
「御幸についてのイメージが一緒だからかな? だいぶと気が合うと思うよ」
「それってどうなの」

160703

   

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