「というわけで…秋組のオーディションも無事に終わり、5人そろいましたよ!」

「「「「おおー…!」」」」

「いよいよ秋組始動ダネー!」

至が「引っ越しは終わったの?」と
いづみに聞くと「夜には終わる。」との事だった。

「歓迎会するヨ!」

「そうですね!…あー…でも私、今日はキッチン立てないかも……。」

「どうしたの?心ちゃん……って、えぇー!?その足どうしたの!?」

「さっき………こ、転んじゃって…!」

「大丈夫よ!今日は歓迎の意味も込めて昨日からカレー仕込んでたから!」

その言葉に一同
またか…と言わんばかりの表情になった。

「安定のカレー。期待を裏切らない。」

「楽しみネ!」

その夜、引っ越しが終わった秋組5人がそろった。

103号室でゲームをしていた心と至は
隣の部屋から聞こえた大きな物音に
びくっと肩を揺らした。

「…!な、なに!?今の!?」

「リアルPUBG?」

「んなアホな……。」

「…あ、そろそろ歓迎会の時間か?」

「そうだね……。よいしょっと……。」

「……?お前その恰好でいいのか?」

「え?寮だといつも短パンにパーカーじゃん。無問題。」

「あっそ…。てっきり新人入るから、猫かぶるかと……。」

「今から同じ屋根の下なのに?繕ってもすぐばれるってぇ。」

「……それな。」

2人は急いでキッチンに向かった。

「「おつー。」」

「あ、来た来た!至さん、心!早く席座って!」

「ほい。」

「すみません、遅れまして……え!?」

「んあ?……あー…!今日の!!!」

心は席に座ると、秋組5人の顔を見て驚いた。

「きょ、今日助けてくれた…あの……あの!」

「ここまで連れて帰ってきてくれたって人?」

至がそう聞くと、心は
こくこくと頷いた。

「摂津、お前が人助けするのか?」

「んあぁ?暇してただけっすよ。」

「と、とりあえず自己紹介からね!」

いづみが仕切り、秋組5人は自己紹介をした。

「万里さん…きょ、今日は本当にありがとうございました!」

「いいって…。」

「ふぇぇー……。」

心ここにあらずと言わんばかりに
万里に見惚れている心を見て、
隣の席の天馬が耳打ちしてきた。

「おい、心。もしかしてあいつがあの秋祭りのやつか?」

「そうだと思うの!似てる…すごく似て…!!!!」

ほら!天馬くんも心ちゃんも手を合わせて!という
いづみに元気よく返事をし
「いただきます!」の号令の後、みんなご飯を食べ始めた。

「…!カレーうまいっす!」

「本当だ、プロの味だな!」

「悪くないな。」

いづみのカレーは安定のおいしさのようで
太一、臣、左京も気に入ったようだった。

「…あ、心、飯終わったら俺の部屋な。」

「えぇー……。」

「お前の部屋でも構わないけど?」

「……わかったよ、行くよ……。」

そのやり取りを見ていた太一は
えぇ!?と顔を赤らめた

「も、もしかしてっ…!泥沼恋愛劇っすか!?いやでも俺っちには心に決めた子がぁああっ…!」

「え、いや……落ち着いて?」

必死に落ち着くように言う心を見て、至は意地悪く笑った

「…バレちゃったか………。そうなんだよね、実は心と俺、夫婦なんだよ……。ほら、苗字も一緒でしょ?」

「恋人すっ飛ばして結婚とか……!」

「!?マジっすか!?」

これには事情を知らない、十座も驚いたようで目を丸くした。

それをため息交じりに「お兄……。」と言いながら
心は至を軽く殴った。

「いて…っ。」

「変な誤解招かないでよ!!!……私の実兄です。」

「は……あ、あぁ……なんだぁ……。」

「んなの見りゃあわかんだろ。こんだけ顔似てんのによぉ。」

今だぽかーんとしている十座を見て
万里は煽るように話した。

「こんなのもわかんねぇとか、さすがポンコツ兵頭だなっ!」

「んだとコラ。」

「やんのかコラ!」

「おい、こら!万里も十座も喧嘩はやめろー!」

2人の間に、臣が割って入り喧嘩は収まったが
また一段と寮がにぎやかになるのを
みんな感じて、笑った。

prev next
back