次の日……

談話室には各組全員といづみ、心、支配人が
集まった。

「全体ミーティングって何するんだろね?」

「さあ。」

「とりあえず、私はいつものように書記でいいのかな?」

心が各組のミーティングの際に
内容をPCに打ち込むことがあるため、いづみに質問すると
「そうだね。」と答えが返ってきた。

相変わらずの万里と十座はどこに座るかだけでも
揉めているようだった。

「お前、あっち座れよ。近いのは部屋ん中だけで十分。」

「だったら、お前があっち行け。」

「ああん?」

「はいはーい、万チャン、あっち座ろ〜!」

そう誘導したのは太一だった。

「十座、お前はこっちな。」

臣もそう言いながら、十座を自分の横に座らせた。
人数の多さに至は
「組を越えた全体ミーティングなんて初めてじゃね?」
と話した。

「きっと、ビンゴゲームネ!」

「それはどうだろう……。」

「ワタシ、無人島所有権狙うヨ!」

「規模でかすぎ。」

三角も
「人がいっぱい〜。」
とにぎやかな様子に喜んでいた。

「全員集合ってなると、やっぱ、秋組歓迎会?」

一成の答えに、椋が
「昨日やったのに?」と不思議そうな顔をした。

「お昼だからタコパとか!」

「女子会か!……いづみさん、何か伺ってないんですか?」

「うーん……、左京さんからは劇団の規律に関してのミーティングだと聞いてるんだけど……。」

「規律………?」

そこにやってきた左京は全員の前に立って話し始めた。

「……全員集まったな?始めるぞ。入団にあたって、まずお前らに言っておくことがある。−−迫田。」

「へいっ。」

左京が呼ぶと、何やら大きな紙を持った迫田が現れた。

「へぇー……左京さんってガチのやーさんなんだ……。」

「心ちゃん、知らなかったっけ!?」

「はい……。」

迫田が大きく広げた紙には
綺麗な文字で何やら書かれていた。

「みそ・こんにゃく・セロリ生活……?」

「めちゃくちゃヘルシー生活じゃないですか、シトロンさん!」

「質素・倹約・節制生活だ。」

「控えおろー!アニキの作ったスローガンだぞ!題字・迫田ケン!」

「なんでまた急に。」

「経営が苦しいのかな?」

一成と椋の素朴な質問は
触れられず、左京は心を呼んだ。

「おい、マネージャーさん。今から俺が話すこと、ちゃんとまとめてくれ。」

「はいっ…!」

「まず、風呂は各組ごとに持ち時間20分の中で入れ。」

「え!?20分!?」

「軍隊か……。」

「5人で入るとかムリ。俺は監督と入る。」

「却下!」

「却下だ!」

「いづみさんは私と入りましょ?」

「そうしよっか…。」

「次に、夜10時を消灯とする。ブレーカーを落とすから、以降電気は使えないと思え。」

「「マジか……。深夜アニメが消えた。」」

「早すぎ!!!」

「それから……ああだこうだ……あれも節約これも節約あれもこれもカット……。」

「ひぃいいい!!!タイピング間に合わないよぉおお!!!!」

「………左京さん、さすがにそこまでやるのは無理なんじゃ……。」

いままで静かに聞いていたいづみが口を開いた。
それに便乗するように一成も
「ムリムリ!」と答えた。

「横暴すぎる……。心、今のうちに打て。」

「イエス兄者!」

「困る〜。」

「うるせぇ!お前ら、この寮の水道・光熱費がどれぐらいだと思ってんだ!?」

「……そんなにかかってるんですか??」

心が支配人に聞くと
「……どれくらいなんでしょう?」と笑っていた。

「知らないんですか!?」

「一切払ってないんですけど、請求が来たことがないのが、劇団七不思議の1つなんです〜。」

「いや、それは七不思議にしちゃダメでしょ!?」

左京も呆れたように
「…至急確認しておけ。」と伝えた。

「普通、払わなかったら、電気も水道も止められるはずだけど。」

臣の疑問に、いづみも「そうだよね。」と頷いた。

「……誰かが寮の維持費を払ってるんじゃないですか?……誰かは知らないですけど……。」

「まぁ、ここぴの考えが一番なさそうでありそうかもー?」

「マネージャーさん、ここからまとめる内容を変えてくれ。」

「はい!」

「改めて言っとくが、このMANKAIカンパニーが俺たちの組に積み上げた借金は1000万。期限までに返済できなかったら、劇場は容赦なくつぶす。その条件は忘れてないな?」

「えええっ、でもそれは古市さんが入団する前の話で……仲間になったんだし借金の件もチャラになったんじゃ……。」

「んなわけねぇだろ!」

支配人のまさかの答えに、左京もブチギレだった。

「わお…リアルヤクザ……。」

「まだまだ、借金残ってるんですか?」

「春・夏公演の儲けで少しは返済されたが、先は長い。」

「…あ、左京さん!私がその返済額と残額をグラフ化するので、あとで詳細をお願いします!」

「マネージャーさん、頼んだぞ。」

「はい!」

「具体的に今後どうやって返していくつもりだ。監督さんと支配人の松川は何か考えてんのか。」

「え、ええと……。」

何も考えてなかったいづみは言葉を詰まらせた。

「フルール賞です!」

「え?」

支配人は真面目な顔で答えた後、少しニコニコしながら
話し始めた。

「その年、最も優れた舞台に贈られる日本最高峰の演劇賞ですよ!賞金は1000万!これさえ獲れば一発で返金完済です!」

「こんな潰れかけのヘッポコ劇団がそう簡単に獲れるか!初代でもノミネートまでしかいかなかったんだ。」

「「初代でも……。」」

いづみと心は唖然とした。

「……それは期待外の方法ですね……。一応検討欄に記載しておきます。」

「ムリゲー。」

「そんな……じゃあ、どうすれば?」

「全国公演だ。」

「……あ、地方巡業ってやつですね!」

「そうだ。新生MANKAIカンパニー旗揚げ公演の演目を、順次地方の劇場を周って行うことで、収益を上げろ。」


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