秋組の旗揚げ公演の稽古が始まり出した頃

秋組メンバーと
衣装係の幸
宣伝広報の一成
メイク担当の心は
談話室に集合していた。

そこにやってきたのは
椋だった。

「あれ?何やってるの?ファッションショー?」

「秋組の衣装の打ち合わせだって。今回はギャングものだよん。」

「へぇ〜。かっこいい感じになりそうだね。」

「幸ちゃん、もう衣装できたの???私もそれに合わせてヘアメイクとか決めたいんだけど。」

「そう、じゃあもう少し待って。これはまだ借り物だから。今回はこの既製品の服をアレンジしたいと思ってるんだよね。」

その服を見た万里は目を輝かせた。

「すげー。ヴィンテージ物の皮じゃん。」

「高そうだな。」

「ボロボロなのにか?」

「こういうのは古ければ古いほど価値があるんッス!」

「へえ。」

「布から作るよりも、ちょっと予算がかさむんだけどね。」

左京は「いくらだ。」と幸に話しかけた。

「全部で20万くらいかな?」

「却下。高すぎる。」

「はあ?このくらいなんとかなんでしょ。」

「布から作れ。」

「布から作ったって、皮だったら同じくらいになるし。質感だって全然違うから。」

「妥協しろ。」

「それはこっちのセリフだ、銭ゲバヤクザ。舞台のクオリティも妥協すんの?」

「そんなことは言ってない。お前なら合皮でもクオリティの高いものができるだろう。」

「もっと高くしたいって言ってんの。」

幸と左京の言い合いに
周りはただ見守るだけだった。

「幸くん、左京さんに一歩も引いてないね……。」

「ゆっきーやばたん!かっこいい!」

「えぇっと……もうちょっと予算下げてみるのはどうですか???」

心が助け船を出すと
左京は「10万におさめろ」と幸に伝えた。

「18万。」

「13万。」

「17万。」

「15万。」

「……乗った。値切ってくる。」

「そうしろ。必要なら俺も出る。」

「了解。」

「あはは……。左京さん……私も1つお願いしたい化粧品が……。」

「なんだ?」

「ブルーのフェイスカラーが欲しいです。太一くんの役は病弱設定なので、今あるフェイスカラーのブルーよりももっと濃いものがいいんですが……。」

「わかった。構わん。」

「ありがたき幸せ……!」

幸は採寸するから並べ!と5人に指示した。

――――

「最後、馬鹿犬。」

「あ、あの、お願いするッス!」

「……ちっさ。」

「え!?」

「はい、終了。じゃ、デザイン画はすぐにあげるから。」

「よろしくねー!随時でもいいよー!」

心は手を振りながら幸を見送った。

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