最近は珍しく、座学にも出席するようになった
万里は、4時限目の科学の時間
退屈そうに、窓から校庭を覗いた。

「………体育か……。どこの組だ……?」

楽しそうに男女別にサッカーをしている様子を
ポヤーっと眺めていると
男子の方に、真澄がいるのを見つけた。

「……じゃあ2年か……。つかあいつ……全然動いてねぇじゃん……笑える。」

(つーことは……心もいるんだよな?真澄と同じクラスっつってたし……って!何探してんだよ!馬鹿か!)

そう思いながらも女子のコートを見ると
長い髪を綺麗にポニーテールにして
ちょこまかと動き回る心がいた。

視線に気づいた心は、はっ!と万里のいる
2階の窓に気づき、満面の笑みで
ブンブンと手を振った。

「馬鹿か!!!!よそ見してたら怪我すんぞ!!!!」

ガタッ!と席から立ち上がり大きな声で叫んだ万里に
先生と生徒はシーン……と静まり返った。

「そ、そうだな摂津……。ガスバーナー使う時によそ見はいかんな……。」

「あ……さ、さーせん……。」

むすっとしながら席についた万里は
左手で口を隠すように頬杖をたてて
ヒラヒラと右手で手を振った。

――――
――――
――――


「……ん?」

「どうしたの?茅ヶ崎さん?」

「あ……あれ、万里さんだ。」

「本当だ、摂津先輩だね。」

「手振ってみよっかな……?おーい!!!!」

「……なんか叫んでない?」

「聞こえないね……。」

「あ、座った……。」

「本当だ……。」

「ち、ちちちち茅ヶ崎さん!!!手!手振ってるよ!!!ひらひらって!」

「本当だ……ふふっ。」

「んんんー!!!!手の振り方までイケメンとか!!!茅ヶ崎さんうらやましいよ!!!」

「そ……そう?」

(少しむすっとしてるっぽいけど……。)

――――
――――
――――

4限目も終わり
着替えが終わった心が
真澄と昼食をとろうと準備すると
教室の後ろ入り口に万里が
現れた。

「よぉ、真澄ぃ、心!メシいくぞ。」

「!?!?万里?」

「万里さんっ!お昼一緒にいいんですか!?」

「おー。咲也もいんよ。」

ひょこっと顔をだした咲也は
「中庭いこー!」と笑顔で話した。

「……日に当たるのパス。さっきも体育外で疲れ……。」

「いいですね!行きましょう!……ほら!真澄くんも!」

「えぇー……。」

中庭のベンチで
同じ中身の弁当を見合わせて
咲也は少しうれしそうに笑った。

「みんな一緒って……少し恥ずかしいけど嬉しいね!」

「…まぁ、いんじゃね?」

「万里さんもやっと普通に学校来れるようになりましたしね!」

「普通にってなんだよ!」

「普通にじゃないですかぁ!……あ、さっきなんでむくれてたんですか?てかなんか言ってましたよね?窓閉まってたし…聞こえなかったんですけど……。」

「…ん?あぁ!?…あぁ……気にすんな。」

「えぇー!?気にしますよ!」

「……この卵焼き…美味しい……。監督とやっぱり結婚する。」

「ごめん真澄くん、それ今日は私の卵焼き。」

「……ごめん、俺監督の方が好きだから。」

「なんで私、一方的にフラれてんの!?」

「あはは!賑やかでいいね!真澄くん、エビいる?」

「いる。」

「あはははは!心、真澄にフラれてんのウケる!」

「ウケるな!ウケるな!」

「はははっ……はぁー…、まぁ、余ったら俺が貰ってやるよ。」

「「「………え?」」」

「ん?」

「万里さん、今なんて?」

「万里……貰ってやるって言ってた。」

「万里くん……。」

「あ?い…いや!俺は別にそんな!!!」

「……そんなに好きなんですね……。私の……。」

「……おい、心。」

「私の卵焼きそんなに好きなんですね!なんだぁあ!……はい!私の分あげますよ!」

「俺のもあげるよ!あと1つだけど……。」

「万里ごめん。もうない。」

「…ああああああああああ!!ちげぇええええええ!!!!」


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